小学校のシステムと経営
クリスマスを含む長い長いスクールホリデーも終わり、各学校で新学期が始まりつつあります。始まりつつあると言ったのは、始業式と終業式が各学校によって日付が違うためです。ニュージーランドの学校は4学期制で、1月末(2月初め)から始まるタームがターム1となり、学年があがります。
ニュージーランドの小学校は、公立、半公立、私立の3つがあります。ちょっと分かりにくいのが半公立学校。半公立はカトリックやモンテッソーリ、シュタイナーなど独自の教育理念を持っている学校です。公立と違って学費を支払う必要がありますが、国の補助を受けているので、私立ほど学費が高くありません。
ニュージーランドの小学校はディサイルというシステムで10段階にランキングされています。このディサイルという評価システムは、一言で言うと地域住民の所得のランク付けです。ディサイル1の地域は所得が低く、10の地域は所得が高いとなります。このディサイルは教育省のホームページにも掲載されており、学校(学区)を選ぶ際の基準のひとつになっています。あくまでも地域の所得差の基準であり、ディサイル1だから荒れているとか、10だから教育の質がよいという事ではありません。ただ、このディサイルによって国からの補助金の額が変わってきます。ディサイルが上がる程国からの補助金が少なくなるため、学校は保護者から寄付金を集めたりして、必要な経費を集めます。ここで力を発揮してくるのが校長先生です。ニュージーランドの校長先生は先生というよりは経営者です。いかにお金を集めて、子どもたちの教育環境を良くしていくかというのが仕事になります。日本の校長先生とはちょっと違いますよね。
まず一つ目は保護者からの寄付金です。寄付金といっても半強制で支払わなくてはなりません。寄付金は保護者の経済事情に直結しますので、ディサイルの低い学校は寄付金なし、高い学校だと年間数百ドル、中間のディサイル5くらいの学校は年間$80くらいになります。しかしこの寄付金制度がこの1月から変更になり、ディサイル1-7までの学校は生徒1人当たり$150が国から支給されるため、ほとんどのディサイル1-7の学校では今年から寄付金を集めるのを止めました。ディサイル8以上の学校は引き続き寄付金を集めています。
二つ目は学校でイベントをやったり、場所を貸したりします。年に一度開催されるスクールフェスティバルなどの収益金、生徒が描いた絵をオークションで販売した収益金、近くの競技場などでイベントがある時に学校の敷地を駐車場として貸して得た収益金などなど、各学校が様々なことをやっています。私的にニュージーランドは自由だなと思ったのは、オークション前に子どもたちの絵を展示するのですが、その際にバーカウンターを設置して保護者にビールやワインを販売する学校です。学校がお酒を販売して、保護者が購入して、その収益で学校を良くしていく。なんか不思議な感じですよね。でもこうやって学校経営に必要な経費を校長先生の手腕で集めていきます。校長先生の手腕次第で遠足や社会化見学費用の保護者負担が軽くなったり、なくなったりします。
上記以外にも各学校で様々なことをしています。自分達で足りない経費を集めなければならない分、学校の裁量権が大きく認められており、自由な学校経営ができるようです。