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NZ出国カード廃止


テクノロジーの進化とともに、海外渡航に関するアレコレも色々と変わってきていますね。荷物が機内持ち込みの手荷物だけなら、自宅でオンラインチェックインを済ませ、スマートフォン等で表示できる「モバイル搭乗券」さえ確実に準備すれば、空港到着と同時に保安検査場へ直行することもできるようになりました。(利用航空会社、利用空港にもよりますが)赤いカーボン複写式のペラペラチケットを大事に持って、チェックインカウンター前で何十分も並んでいた日々のことを考えると雲泥の差ですね。

また、日本では日本人渡航者の出入国カード(EDカード)が2001年に廃止されています。2001年といえば、17年前。生まれてから、自分自身で日本のEDカードを書いたことがない、見たことすらない、という留学生の方も多数いることでしょう。

かたやニュージーランド(以下NZ)では、入国カード、出国カードの両方が必要だったので、初めて書く場合は戸惑ったりしたこともあるのではないでしょうか。入国カードには、氏名やパスポート番号、便名などの基本的な情報の他に、NZ国内滞在中の連絡先や滞在日数を書く欄がありますね。そして、食品や動植物製品の持ち込みの有無等を確認する、検疫のための質問事項も含まれています。入国カードは、れっきとした法的書類であり、税関、移民、国境警備、生物防疫、警察、統計等の政府機関や法令に関わる重要な書類で、虚偽なく正確に記入することが求められています。

次に、出国カードですが、こちらにも氏名等の基本的な情報の他に、滞在していた日数や滞在中の連絡先等を書き込んでいました。導入されてから100年近く、旅行者の情報や動向をつかむために使われてきたカードですが、コンピューター化が進み、技術も大幅に進歩した近年では、もはや統計局で利用されるのみ、となってしまっていたようです。昨年は旅行者が約10万時間をかけて書いた約650万枚の出国カードが提出されていたそうですが...いよいよNZでも廃止されましたね。

今回の決定は、隣国オーストラリアの動きが深く関わっています。オーストラリアでは、2017年7月に新システムを導入し、旅行者の経験がよりスムースで心地よいものとなるようにと出国カードを廃止しました。2018年3月のオーストラリア・ニュージーランドリーダーシップフォーラムの場で「NZに引き続き出国カードが存在した場合、両国間の移動が円滑でなくなり、ビジネスや観光事業に良くない影響がでるであろう。」といった訴えを聞いたジャシンダ・アーダーン首相はNZでの廃止に向けて話を進めていくことを約束しました。そして、8月に正式に廃止が発表され、2018年11月5日より撤廃されました。

現在のところ入国カードは引き続き記入が必要となっていますが、「将来的に、やりようによっては撤廃することができるのではないか、その可能性について考えることも有効なのではないか」という話はあるようです。当面は入国カードが機内で配布される際には是非受け取っていただき、食品や動植物製品には特に気をつけながら記入を行っていただきたいと思います。

さて、廃止からかれこれ一カ月、周りの反応はどうでしょうか。最近出国した友人たちに話を聞いてみました。「出国直前にカードを書いていないことに気づき、書き込もうとしたがもはや書き込み用カウンターもなく、驚いた。」とか「そういえばなんかひと手間少なくなったような?何か忘れてる?」という感じでした。永住者の多くは廃止の事実を知らないまま旅行にでるケースも多いようですね。ですが、出国カードを書くことに不慣れだったり、英語だけの書類に少し抵抗感のあるような方にはインパクトがあるのではないかと思います。すぐに慣れること間違いなしですが。

すでになくなった出国カードですが、650万枚で10万時間ですと、1枚あたり書き込むのにだいたい2分かかる計算のようです。それでも、早朝だったり、乗り継ぎで急いでいたり、体調不良だったり、大人一人でたくさんの子供を連れ、全員の分を書き込んだり、といった個々のストーリーを考えると今回の措置は本当にありがたいですね。今後も煩雑な手続きが簡素化され、よりスムースで快適に海外渡航できるようになっていくと良いですね。みなさんの留学の1シーンがますます変わっていくことと思います。

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